7−1.「忘れ上手」は「感情の整理」が上手 |
今度は、悪感情を溜め込まないための基本的な心構えについて考えてみましょう。
たまったゴミは掃除しなければいけませんが、ふだんの心構えや生活スタイルによっては、ゴミそのものを溜め込まずにスッキリした気分で過ごせるはずなのです。
それができれば感情生活はいつも安定します。
悪感情が生まれることがあっても、自分で上手に処理できるからです。
まず、普段の心構えとして勧めたいのは「忘れる」ことです。
相手の言葉がちょっと引っかかった、態度が気になるというきに、「どうしたのかな?」と意識を集中させれば、悪い想像もどんどんふくらんできます。
そういうときはいったん思考停止、判断停止するのがいちばんで、つまり「忘れる」ことが大事なのです。
もちろん、「どうしたのかな?」と思うのは当然です。
その結果、こちらに何らかの非があることが分かることもあります。
ただし、その気になる点が行き過ぎると悪感情になってしまうのです。
実際、感情コントロールの上手な人は「忘れ上手」な人でもあります。
腹の立つことがあってもすぐに忘れる。
他人の言葉に傷つけられてもすぐに忘れる。
誰かをうらやましく思う瞬間はあっても、これまたすぐに忘れてしまう。
悪感情が芽生えることはあっても、それが心に長くたまらないのですから、感情生活はいつも快活です。
あなたは、嫌なこと忘れるために、どんなことを行っていますか? |
7−2.忘れ上手になるためのヒント |
忘れ上手になるためのヒントを考えてみましょう。
まず、私たちが嫌なことを忘れるのはどんな場合でしょうか?
いちばん多いのは、好きな人と会っているときでしょう。
気の置けない友人とおしゃべりしているとき、愛する人と一緒にいるとき、尊敬する人に誉められり、信頼されたりしていると感じるとき・・・・・・。
そういうときは、さっきまで心に重くのしかかっていた嫌な出来事がどこかに飛んでしまっていたり、取るに足りない感情のように思えたりしてきます。
次に多いのは、自分が好きなものや夢中になれるものに心奪われているときでしょう。
登山や釣り、映画や音楽といった無心になって過ごせる趣味や遊びの世界も、いやなことを忘れさせてくれます。
つまり、忘れ上手な人は普段の生活の中に気持ちのよい時間をたくさん持っている人です。
身近な人間関係に恵まれ、好きな世界を持っている人なら、どんなに嫌な感情が生まれてもすぐに忘れることができるのです。
嫌な感情にとらわれているとき、私たちもしばしば「気分を変えたいな」と思います。
けれど同時に、「こんなときは何をやっても楽しくないだろう」と諦めたりしないでしょうか。
あるいは会いたい人も思い浮かばず、やりたいことも考えつかず、結局、いつまでも嫌な気分とつき合ってしまう。そういうケースがしばしばあるのです。
会いたい人が思いつかないなら、電話一本、葉書一枚、あるいはメール一通でもいいです。
「どうしているかな?」と気なる人に、こちらから連絡してみるだけでも気分が変わります。
やりたいことが考えつかなくてもいいです。とりあえず外に出てみましょう。
散歩がてら、足の向くままに歩いてみて、気に入った店や場所でゆっくりするだけでも気分が変わります。
嫌なことを忘れるためにできることを3つ考えてみましょう。 |
8.周りに好かれる人の魅力は「自分を信じる」にある |
周りを見渡してみると、好かれている人は「自分を信じる人」たちでもあります。
自分を信じる人は、感情も安定しています。
自分を信じる人は、大きな夢や目標に向かって歩き続ける人たちです。
人間ですから、不安になったり、自信をなくしたりすることもあるでしょう。
けれども最後の最後まで自分を信じる気持ちがあれば、逃げ出したり投げ出したりすることはありません。
また、自分を信じる人は決して焦らない人でもあります。
失敗しても慌てふためかないし、難問に直面しても放り投げません。
かといって、力んでいるようにも見えません。
マイペースで、ゆったりと構えている様子があります。
自分自身の生き方に確信を持っているから、相手の意見にも耳を傾けるし、それが正しいと思えば素直に受け入れることができます。
自分の判断に従うことをためらわない人です。
自分を信じる人は、感情的に大らかで、上機嫌な人でもあるのです。
自分自身の生き方に不安や迷いがあったり、あるいは他人の言動にすぐに惑わされたりするような人は、たとえ喜怒哀楽のはっきりした性格であっても不機嫌をむきだしにすることが多くなります。
ところで、自分を信じるとは自分の何を信じることなのでしょうか。
自分を信じるとは、まず自分の中の成長願望を素直に信じることです。
(私は仕事とともに成長しています。)
成長願望は誰にでもあります。
学びたい、知りたいという欲求や、これができるようになりたい、こんな資格を取ってみたい、こういう人間になりたいという願望を持たない人はいません。
その成長願望を素直に受け入れ、自分を高めることにためらいを持たない人が、「自分を信じる」人ではないでしょうか。
従って、自分を信じる人の感情生活が安定しているのもうなずけます。
見栄やプライドにこだわりませんし、自分より優れた人を素直に認めます。謝ることや教わることにもためらいを持ちません。
しかも身軽です。
自分を高めるために、積極的に行動して対人関係を広げようとしますし、勉強が好きです。
ここまで述べてきた様々な感情生活のコントロール方法が、ごく自然に備わっていることになります。
そしてそういう人の周りに、様々な人間が集まってくるのも当然のことです。
機嫌のいい人は誰からも好かれる人です。
他人に愛されることで、さらに感情生活は充実してきます。
そういう本質的に「機嫌のいい人」の生き方や魅力を考えてみましょう。
●●● ポイント!●●●●
自分の成長願望を認めれば、機嫌のいい人になります。
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9.機嫌がいいと、自分を愛せるようになる |
素直な成長願望を受け入れるために、いちばん大切なのは自分を「好き」になることです。
自分を嫌いになったら、成長願望の持ちようがありません。
自己嫌悪や自信喪失、あるいはコンプレックスに包まれてしまえば、自分を責めたり否定したりするばかりで、今のままの自分をもっと高めようという肯定的な気持ちにはとてもなれませんし、機嫌も悪くなります。
つまり、「自分は今のままでいいんだ」という肯定的な気持ちをまず持つことで、その自分が望むもう一段高い段階まで成長させようとする気持ちが生まれてくるのです。
ではどうすれば自分を「好き」になるのでしょうか。
「今の私は幸せだな」そう思えるときに、自分を「好き」になります。
それはどういうときでしょうか?
まず感情が安定しているときです。
美味しいものを食べたり、楽しい時間や充実した時間が過ごせたりして、満ち足りた気分になっているときです。
また、私たちは他人と関わり無く生きていくことはできません。
感情生活にとって、人間関係はほとんど全てと言っていいほどの大きな比重を占めてきます。
嫉妬やうらみ、ねたみのような悪感情に心を乱されれば、美味しいもの食べても幸せな気分になれません。楽しいはずの時間や充実するはずの時間も、イライラしたり落ち込んだりした気分で過ごすことになります。
逆に人間関係がうまくいっているときには、それこそ道端の野良猫にもやさしい声をかけたくなるほどウキウキした気分になります。
愛する人に囲まれたり、周囲の人が自分に好意を持ってくれたり、あるいは自分を認めてもらったりしたときには、嫌な感情はたちまち消えてしまうのです。
人間関係に恵まれている人は、自分に自信を持つことができます。その自信は、今のままの自分でいいんだという自信です。
今のままの自分を好きになってくれたり、認めてくれたりする人がいれば、自己愛は完璧に満たされるからです。
「機嫌のいい人」の周りから楽しい交友関係が始まります。相手への悪意ではなく、善意を前提とした人間関係です。
そういう関係の中に自分を置くことで、誰でも自分を「好き」になってきます。
ありのままの自分をさらけ出してもみんなが朗らかに対応してくれるのですから、「私はこのままでいいんだ」という自信が湧いてきます。
それが素直な成長願望を育ててくれるのですから、さらに新しい世界、新しい勉強、新しい人間関係へと踏み切らせてくれるでしょう。
●●● ポイント!●●●●
機嫌をよくするために・・・・・・
・自分を認め、好きになりましょう。
・自信を持ちましょう。
・成長願望を持ちましょう。
・人間関係を良好に保ちましょう。
機嫌よくしていると・・・・・・
・楽しい交友関係が生まれます。
・自分を好きになれます。
・ 自信が湧きます。
・ 新しい世界、新しい学習、新しい人間関係に踏み込めます。 |
感情をコントロールする方法、秘訣、ポイント、コツのまとめ |
●感情はコントロールできる。
●感情をコントロールして機嫌のいい人になると、周囲から好かれ、仕事がはかどる。
●感情をコントロールするための習慣を身につける。
●自分の性格を認める。悪感情を他人のせいにしない。
●感情の切り替えをうまくする。そのための方法を持つ。
●心にゴミがたまっていないか、定期的にチェックする。
●嫌なことを忘れる。そのための方法を持つ。
●機嫌がいいと、自分を愛せるようになり、自信につながる。
●自分を褒める
●自分を信じる
●機嫌がいいと、新しい世界が広がり、ますます機嫌がよくなる。 |
■参考図書
「感情の整理」が上手い人下手な人―感情コントロールで自分が変わる
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