■第一の法則「身のまわりの幸福や幸運の断片をしっかり捕まえる |
私たちの周りには「幸福な人」がいます。
「あんなふうになれたらいいな」とか、「いつ見ても幸せそうだな」と思わせる人たちです。
悩みや不満のまったく無い人はいません。
どんな人でも、仕事や人間関係に何かしらの悩みを抱えていたり、自分の置かれた状況に不満を感じることがあります。
そして、心がその悩みや不満に占められてしまうと、人間は元気がなくなります。
表情に輝きがなくなったり、笑顔が消えたりします。
でも、「幸福な人」は、いつ会っても表情が耀いているし、笑顔が浮かんでいます。
これは悩みや不満が有っても、そのことに心を惑わされていないということです。
悩みは不満、それ自体は決して幸福の妨げになりません。
もうひとつとても大事なことがあります。
「幸福な人」は、仕事でも勉強でも約束を守ることでも、自分ができることはきちんとやりとげているということです。
しかし、いつも笑顔を絶やさず、周囲に愛想をふりなく人であっても、自分の仕事を放り投げたり、約束を簡単に破ってしまうような人を、私たちは「幸福な人」だとは思いません。
その人がどんなに気楽に、あるいは豊かに暮らしているように見えても、私たちはそこに「イヤな感じ」を持ってしまいます。
この「イヤな感じ」というのは、少なくとも「幸福」よりも「不幸」に近いイメージになります。
何か不健康なものを感じるのです。
「幸せそうだな」と思わせる人は、そこがまったく違います。
とくべつ愛想をふりまかなくても、あるいは笑顔を滅多に浮かべなくても、
私たちはその人に「いい感じ」を持ちます。この「いい感じ」も「幸福な人」がひとしく備えている大切なイメージなのです。 |
■悩みや不満があっても平気な人がいる! |
幸福そうに見える人は、悩みや不満に心を惑わされていない。
そして毎日、きちんと暮らしています。
これはとても平凡なことです。
少しも特別なことではありません。
だから、私たちの周りには幸福そうに見える人がいるのです。
ところが、その数はあまり多くはありません。
平凡でも難しくないことでも、それを実行できている人は案外、少ないのです。
悩みや不満に心を惑わされてしまう。
だから毎日、やろうと思ったことができなかったり、約束を守れなかったりする。
そのことで悩みは不満がさらに大きくなってしまう・・・そんな悪循環に陥っているかもしれません。
そういう時には、ぜひ、あなたの周りにいる「幸福そうな人」の顔を思い浮かべてください。
彼や彼女にも、きっと悩みは不満があります。
ただ、毎日きちんと暮らしているのです。
自分にできることを精一杯やりとげて、充実感に包まれて一日を過ごしているのです。
もちろん、これは簡単なことではありません。
悩みや不満に心を奪われている人にとって、毎日をきちんと暮らすことがいかに難しいか。
でもひとつだけはっきりしていることがあります。
それは、悩みは不満を解決することのほうが、きちんと暮らすことよりもっと難しいということです。
仕事でも人間関係でも、あるいは自分自身に対しても将来に対しても、今ある悩みや不満を解決するのは容易ではないし、もっと言えば「その必要があるのかな」ということなのです。
どういう悩みや不満があっても、毎日、自分ができることをきちんとやり遂げるのは可能です。
「幸福な人」は、その可能なことを実行している人です。 |
■ なぜ幸せな人に「いいこと」が集まってくるのか? |
幸福な人は自分の毎日に満足感を持っています。
その日にできること、やるべきことをきちんとやりとげたという満足感です。
もちろん、思うようにいかない日もあります。
そういうときは「明日はちゃんとやろう」と自分に言い聞かせて一日を終わりにします。
不満を翌日に持ち越してもいいことはないと知っているからです。
とにかく、一日一日を気持ちよく締めくくることに全力を尽くします。
できることをきちんとやりさえすれば、毎日に満足感が生まれると知っているのですから、迷いやためらいが無いのです。
気持ちのいい一日だったと感じるのはどんな日でしょうか?
毎日が同じように過ぎていきます。
幸運はめったに訪れません。
それでも「今日は満足だな」と感じる日があります。
自分ができることをきちんとやり遂げた日です。
これは心にとてもいいことです。
感情が安定しますし、気持ちも朗らかになります。
だから、他人に対して機嫌よく接することができます。
すると、どういうことが起こるでしょうか?
そこに「幸運の種」が蒔かれるのです。
私たちは自分に対して機嫌よく接してくれる人に好感を持ちます。
つまり、幸福そうに見える人は、周りのいい人といい関係をつくっていけるのです。
そして、そのことで幸福はさらに膨らみます。
周囲に好感を持たれる「いい感じ」の人には、いいこと、つまり幸運がたくさん集まってくるからです。 |
■ 「幸運」の種を自分から見逃していませんか |
「幸運」というとあまりに大きなテーマで、しかも漠然としています。
誰でも心から求めているものなのに、その形が漠然としているのでは、捕まえるのがますます難しくなります。
そこで、「断片」に目を向けるのです。
「断片」に目を向けると、幸運が見つかりやすくなります。
たとえば一日の始まりにだけ目を向けてみましょう。
朝、すっきり目が覚めたらそれだけでもいい気持ちです。
たとえ瞬間的なものであっても幸運、そして幸福を見つけるのは難しくありません。
アメリカの女性詩人メイ・サートンの幸福に関してのとても有名な言葉があります。
「幸せとは「瞬間」的なものだ。ほとんど毎日、幸せな瞬間なら、少なくとも一度はある。」
確かにそのとおりです。
見つけにくい幸福も、一日の中にある無数の断片に目を向ければ、誰でも見つけることができます。
ところが、その幸福を自分から見逃す生き方を選ぶ人がいます。
一日の断片に目もくれずに、悩みや不満とだけ向き合う人です。
あるいは、現実を飛び越えて、すぐには手の届かない世界だけに目を向けている人です。
そういう人たちが、幸運や幸福からどんどん遠ざかっていきます。
不機嫌な毎日を送ることで、その断片すら感じ取れなくなってしまうからです。
どう生きれば幸運に出会えるか、そして幸福になれるかというのは、とても難しい問題です。
しかし、どう生きれば幸運に気づくか。
あるいはどう生きれば自分の幸福を実感できるかというのは、それほど難しい問題ではありません。
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第2の法則 できることをきちんとやれば「幸せ」は必ずついてくる |
■ 私たちは、いつから「幸せ探し」が下手になったのだろう?
現代は幸せの見えにくい時代、実感しにくい時代なのかもしれません。
豊かであっても幸せではない。
仕事があり、職場でもきちんと責任を果たしているのに、幸せではない。
どうなれば幸せなのかというモデルが存在しなくなっているのです。
このことは、私たちが物質的に豊かになったことも関係があるでしょう。
心が元気をなくすは誰にでもあることです。
職場にも家庭にもストレスがあるし、自分自身の生き方にも思うようにいかないことがたくさん有ります。
けれども、そこでズルズルと後退してしまうのではなく、踏みとどまって軽やかな心を取り戻す人は、やっぱり身のまわりに幸せを見つけるのが上手なのです。
小さな幸せ感が心に元気と明るさをもたらしてくれるからです。
なんでもないことのようですが、私たちが忘れている習慣かもしれません。 |
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■ 幸せには、どんどん「膨らむ力」があります |
私たちには、今よりももっと「いい人生」を望む気持ちがあります。
仕事でも、生活レベルでも、対人関係でも、あるいは漠然とした夢や希望も含めて、とにかく今よりももっと「いい人生」にしたいと考えます。
これは単純な欲望というより、向上心とか上昇志向といった気持ちにつながります。
それはそれで、とても大切な気持ちです。
私たちの夢や希望を実現させるパワーの元となるのは、この向上心や上昇志向であることが多いからです。
それと同時に、今の幸せを実感できること。
これもとても大切になってきます。
たとえ向上心があっても、今の自分に悩みや不満だけを感じているときには、どこか投げやりになってきます。
「どうせうまくいかない」とか「こんじゃダメだ」とあきらめの気持ちが先立ってしまいます。
あるいは苛立ちます。予定や計画が思い通りにいかないことで、自分に腹を立てたり周囲のせいにしたりします。
いずれにしろ、夢や希望は遠のくのです。
幸せ感は、心を元気にすることで健康な向上心や上昇志向を作ってくれます。
小さな幸せを感じ取ったり見つけることのできる人は、夢や希望に対してもまっすぐに向かっていけるのです。
自分の生き方に手ごたえを感じるのですから、悩みや不満があってもそれを忘れている時間のほうが多くなります。
これは、十分に幸せな人です。
最初はどんなに小さくても、幸せには「膨らむ力」が秘められているのです。
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■ 「とりあえず幸せ」をまず目指してみましょう! |
たとえ仕事に不満があっても、夢中で働いているときには幸せそうに見えます。
でも、それでは「なんの解決にもならない」と考える人もいるでしょう。
「仕事に自信が持てないときは、何かしらの不安があるから集中することもできない」
そう考える人もいるでしょう。
実際、仕事の悩みや不満を抱えているときはひとつの作業に集中できません。
よくない結果を想像したり、遅れが気になったり、周囲の人がみな自分より順調にいっているように感じます。
そのことでさらに集中力が途切れますから、ますます不安になります。
でも、目の前にやるべき仕事があるということは、本来とても幸せなことなのです。
その幸せに目をつぶって、わざわざ自分から不安の中に入り込んでいく必要はありません。
何もかも完璧な日はめったにありません。
小さなミスや予定の狂いは何かしら起こります。
それでも目の前の仕事を一つずつ片付けて、その日にやるべきことをきちんと終えた日。
そういう日はやっぱりいい気分です。
特別幸運な出来事はなくても「このままでやっていけばいいんだな」という手ごたえのようなものを感じます。
「とりあえず幸せかな」と思えるようになります。
まず、そんな毎日を目標にしてみてはどうでしょうか?
うまくいかないこと、思うようにいかないことは有っても、とにかくその日にやるべきことに全力を尽くす。
それが自分の生活スタイルになっている人は、悩みや不満を遠ざけて生きることができます。
「とりあえず幸せ」というのは、そういう生き方ではないでしょうか?
いつか幸運がやってくるのはこういう人です |
■ 昨日できなかったことに心を奪われてはいかない |
「やるべきことをやればいい」このことはほとんどの人が頭で分かっているはずです。
仕事でも勉強でも、毎日、やるべきことをやればいい。
そんなことは分かっている。
分かっていてもできないから悩むし、自分に不満を持ってしまう。
それが大部分の人の現実だと思います。
でも、「とりあえず幸せ」を目指すと目標に手が届きやすくなります。
うまくいかないことがあってもいいから、やれることはやっておく。
それだけでいいのです。
仕事で、今日はこれぐらい進めようとか、時間内にここまで終わらせようといった計画を立てます。
ところが、うまくいかない時があります。
人によってはそういうときのほうが多かったりします。
すると、どうしても自分を責めてしまいます。
「私は意思が弱い」とか「気が弱い」「能力が無い」といった調子で、自分をどんどん不幸な人間に仕立ててしまいます。
でも、「やれることはやっておく」という目標設定なら、実行できたぶんだけに目を向ければいいのです。
目標に達しない場合でもとにかく「やれることはやった」のです。
やり残しがあったとしても「やれることはやった」のです。
そういった、減点法ではなく、加点法の考え方をぜひ身につけてください。
予定の半分しかできなくても「予定の半分ができた」と考えることができれば、少なくとも自分を不幸な人間に仕立てることは無くなります。
なぜなら、成果の無い一日は存在しなくなるからです。
毎日、少しずつ何かをやり遂げていることが実感できれば、「とりあえず幸せ」な気持ちを持つことができるはずです。 |
■ 今より一段だけ上を目指そう! |
仕事の能力と満足感はかならずしも比例しません。
「できる人」がいつも満足しているわけではなく、むしろ不満や焦りを感じている場合もあります。
逆に今はまだ「できない人」でも、毎日の成果に何かしらの手ごたえを感じている人は、「この調子だぞ」と自分を励ますことができます。
その日の自分に満足できた人は、明日もいいことが待っていると思うのです。
どんなに能力があっても自分や周囲に不満を感じている人は、そこで足踏みしてしまいます。
幸せな人は違います。
歩みは遅くても、自分が少しずつ前に進んでいることを実感できます。
一日の満足感を積み重ねていけば、しだいに大きな目標も見えてくるようになります。
「とりあえず幸せ」というのは、大きな成功とは無縁の日々かもしれませんが、前に進むことができます。
今より一段上の自分を目指すことができます。
これは、とても大切な力です。
幸せな人には、その力が備わっているのです。 |
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